【登場人物】
いぬらー所長:毎日おいしく、安心して食べてもらえるごはんを探し続ける飼い主代表。
ぷう先輩:かつて所長と暮らしていたトイプードル。ごはん大好きのくいしんぼう代表。(天国から見守っている)
ドッグフードって種類が多すぎて、何を選べばいいのか迷ってしまうのだな…。
迷うのは当然だよ。まずはドッグフードの基本から、疑問を一つずつ解決していこう。
おお、それはありがたいのだな。よーし、質問攻めだ!
- はじめに
- 主食は「総合栄養食」を選ぼう
- 年齢にあったものを選ぼう
- 愛犬にあったものを選ぼう
- ドッグフード選びの疑問を解決!よくあるQ&A
- まとめ
はじめに|主食は「総合栄養食」を選ぼう
主食は「(犬用の)総合栄養食」と書かれているものを選ぼう。これは、そのフードと水だけで健康に生きるために必要な栄養を満たせるごはんのこと。“バランスのとれた定食”のようなものだよ。
💡3つのポイント
- 「総合栄養食」と明記されたものを選ぶ
- 犬用の「総合栄養食」とパッケージに書かれているか必ず確認!
- おやつでは栄養が足りません。
- 年齢にあったフードを選ぶ
- ドッグフードのパッケージには、「子犬用(パピー用)」「成犬用」「高齢犬用(シニア用)」のほか、「〇カ月齢まで」「〇歳以上」「〇歳〜〇歳向け」など、対象となる年齢が表示されています。
- 犬は成長段階によって必要な栄養バランスが変わるため、愛犬の年齢に合ったフードを選ぶことが大切です。
- 愛犬の体質にあったものを選ぶ
- 毎日の健康バロメーターとして、以下のポイントで愛犬を観察!
- 食べる量や食いつきの変化(よく食べるか、食べ残しがないか)
- うんちの硬さや回数(普段と違う軟便や下痢を繰り返しでいないか)
- 元気かどうか(疲れやすくないか、遊びたがるか)
- 毛並みや皮膚の状態(ツヤがあり、かゆがらないか)
- 体重の増減(急激な体重変化がないか)
- 毎日の健康バロメーターとして、以下のポイントで愛犬を観察!
犬も私たちと同じ生き物です。どんなフードでも「これさえあげれば完ぺき!」というものはありません。気になる変化に気づいたら獣医師に相談するのも◎です。
体質や体調は一頭ずつちがうので、病気のときや特別なケアが必要なときは、獣医師さんのアドバイスにしたがってフードを選びましょう。
ドッグフード選びの疑問を解決!よくあるQ&A
ドッグフードにはさまざまなタイプがあり、それぞれに特徴があります。
📘 ドッグフードの主な分類
- 総合栄養食:このフードと水だけで栄養バランスがとれる主食となるもの。
- 間食:「おやつ」「スナック」ともいいます。愛犬と遊ぶときや、しつけのごほうびで使います。
- 療法食:特定の病気や体質に栄養バランスが調整されたフード。必ず獣医師の指導が必要なフードです。
- その他目的食:「一般食」「副食」「栄養補完食」「カロリー補給食」ともいいます。栄養補助を目的としたフードのこと。サプリメント、おかずタイプ、ふりかけなどいろんな種類があり、主食のごはんにトッピングなどして使います。
⚠️ ドッグフードは種類によって使い方がちがいます。愛犬の体調や目的に合わせて、適切に使い分けましょう。
⚠️ 主食以外のフード(おやつやトッピングなど)は、1日に必要なエネルギー量の20%以内におさえるのが目安です。
愛犬の体重をもとに、ドッグフードの1日の給与量を計算できます。
[計算方法]
1.愛犬の体重をもとに「安静時エネルギー要求量(RER)」を計算
2.1の結果に活動係数をかけた「1日のエネルギー要求量(DER)」を計算
3.2の結果にドッグフードのカロリー(kcal/g)に応じて、「ドッグフードの1日の給与量」を割り出す。
それでは、例題をもとに計算のやり方を説明します。
例題)
🐶 愛犬情報:トイプードルのオス、年齢5歳、体重5Kg、去勢手術済
🍖 ドッグフード情報:100gあたりのカロリー「350kcal/100g」
(√機能の付いた電卓で計算することができます)
計算式:RER = 70 × (体重kg)0.75
例)体重5kgの場合
70 × 50.75 = 233kcal
RERに愛犬の生活スタイルに応じた係数をかけます。
- 維持:1.0〜1.8
- 避妊・去勢なし:1.6
- 避妊・去勢済:1.4
- 肥満傾向:1.2
- 安静要求時:1
例)5歳、体重5Kg、去勢済の場合、上記1の計算結果に係数を掛け算します。
233kcal × 1.4 = 326.2kcal
ごはんの量 = (DER ÷ ME) × 100g
MEとは、ドッグフードに記載されている100gあたりのカロリー(または代謝エネルギー)です。これと、2で計算したDERを使用して計算します。
例:ドッグフードに記載されている100gあたりのカロリーが「350kcal/100g」の場合
ごはんの量 = (326.2kcal ÷ 350kcal) × 100g
このドッグフードの1日の給与量は、93.2g(=およそ80g)が目安です。
- 子犬:成長期で高カロリーが必要。1日3〜4回に分けて与える。
- 成犬:活動量に応じて調整し、1日2回が一般的。
- シニア犬:運動量が減るためカロリーを控えめに。消化が弱い場合は、1日少量ずつ数回に分けることで消化の負担をへらします。
- フードによって100gあたりのカロリーが違うので、パッケージ表示も確認。
- 規定の量をあげているのに、体重や体型の変化がある場合は量を調整しましょう。
- 食べ残しや吐き戻しがある場合は量を調整。
- 皮膚や被毛など異常が出ていないか観察して、必要に応じて獣医師に相談するのも◎
👉 愛犬に合わせた量をすぐに計算したい方は、ドッグフード摂取量 計算ツール をご利用ください。
ドッグフードには主に以下の5タイプがあります。
タイプ | 特徴 | メリット・注意点 |
---|---|---|
ドライフード | 水分量は約10%以下で、いわゆる「カリカリ」と呼ばれる粒状の固形タイプ。 |
✅ 歯ごたえがある:噛むことで歯石の予防にもつながる。 ⚠️ 水分が少ない:食事からの水分摂取が少なくなるため、新鮮な飲み水を別に用意しておくことが大切。 |
ウェット | 水分量が多く、缶詰やレトルトパウチ型。 |
|
セミモイスト | 水分量25〜35%でやわらかめ。粒状で「ドライフード」よりもソフトなタイプ。 |
|
フリーズドライフード | 素材の栄養をそのままキープ。水やぬるま湯を加えてあたえます。 |
|
冷凍フード | 加熱・冷凍された生食タイプ。 |
|
💡 初心者さんには、保存しやすく手軽な「ドライ」または「ドライ+ウェットの併用」がおすすめです。
ライフスタイルや愛犬の好みに合わせて、無理なく続けられるスタイルを選びましょう。
「チキン」と書かれているドッグフードと「肉類」と書かれているドッグフード、どちらを選びますか?
原材料表示の順番や表記の違い、注意すべきポイントをご紹介します。
🍖原材料表示の見方
- ドッグフードのパッケージに記載された原材料表示は、使用量が多い順に並んでいます。
- 原材料表示に「肉類」とだけ書かれているよりも、「チキン」や「ビーフ」など具体的な肉の種類が記載されているほうが、何を使っているかがはっきりしていて安心です。
- 添加物が気になる方は、ローズマリー抽出物やトコフェロール(ビタミンE)類などの天然由来の酸化防止剤を使っている製品がおすすめです。
成分表示の見方がわかると、愛犬にあったドッグフードを選ぶときに必要な知識になります。
これらの表示は愛犬の健康管理に欠かせない大切な情報です。
📊成分表示の見方
成分 | 総合栄養食の一般的な目安 | ポイント |
---|---|---|
粗タンパク質 | 成犬:18%以上 子犬:22.5%以上 |
筋肉、皮膚、被毛、臓器の健康維持 |
粗脂肪 | 成犬:5.5%以上 子犬:8.5%以上 |
エネルギー源、毛艶に影響 |
粗繊維 | 5%以下 | 腸の動きをサポートする ただし犬は繊維質の消化が困難なので適量に抑える |
水分 | 10%以下(ドライフードの場合) | 1日に必要な水分量は摂取エネルギー量とほぼ同じ |
⚠️注意点
- 運動量が多い犬 → タンパク質・脂質が高めのフードでエネルギー効率UP
- シニア犬 → 消化のやさしさを重視し、適度なタンパク質と低脂肪を選ぶ
- 子犬→ 成長のサポートに必要なエネルギー源となるタンパク質や脂質が高いもの望ましい
- 肥満気味の犬 → 高繊維のフードで満腹感を保ちつつ、低カロリーでコントロール
ドッグフードを選ぶとき、「副産物」「チキンミール」「BHA」など、聞き慣れない名前が原材料欄に並んでいて戸惑ったことはありませんか?
よく使われる原材料の意味と注意ポイントを解説します。
原材料名 | 説明 | 注意ポイント |
---|---|---|
副産物 | 肉や魚を加工する過程で出る「内臓・骨・皮」などの部分。 | 「副産物」とだけ書かれている場合は品質が不明確なことも。 |
ミール | 肉類を加熱乾燥して粉末にしたもの。例えば、鶏のみ使用なら“チキンミール”と表示されます。 | 品質の差があるため、動物種や使用部位が記載されているなど、信頼できるメーカーを選ぶと安心。 |
BHA・BHT・エトキシキン | 酸化防止剤の役割。ドッグフードの酸化を防ぎ、品質を保つ目的で使われます。 | 気になる方は「無添加」や「天然由来」の商品を選ぶと◎。 |
ローズマリー抽出物・トコフェロール類 | 自然派の酸化防止剤。 | 安全性は高いですが、保存期間は短くなる傾向があります。 |
プロピレングリコール | フードの乾燥やカビの発生を防ぐ役割。半生タイプのフードやおやつなどに使われる保湿剤。 | 犬には使用OKとされていますが、猫用フードでは使用が禁止されているため、注意が必要です |
赤色◯号・黄色◯号・青色◯号・緑色◯号 | 合成着色料。見た目を良くするための添加物なので、なくても健康に問題はありません。 | アレルギーや皮膚トラブルの原因になることがあるため、添加物に敏感な愛犬には、無添加・着色料不使用のフードがおすすめです。 |
ドッグフードを変えるときは、タイミングや方法に気をつけることが大切です。
急に切り替えてしまうと、下痢や嘔吐など、体調をくずしてしまうこともあります。
特にお腹がデリケートな子は、様子を見ながら少しずつ進めてあげましょう。
🔄 フードを変えるタイミングの例
- 愛犬の成長に合わせて(子犬→成犬、成犬→シニア犬)
- 体調が変わったり、アレルギーの症状が出たとき
- 好みが変わって食べなくなったとき
- 獣医師から勧められたとき
📝フードの切り替え方法 7~10日間かけて徐々に切り替え
⚠️注意点
- フードを急に変えるのは避ける
- 切り替え中に、軟便・下痢、嘔吐、食欲不振などが続く場合は一旦中止し、獣医師に相談しましょう。
犬にも好き嫌いはあります。食べないときは無理強いせず、原因を探ることが大切です。
🐶 好き嫌いの理由
- 味や食感の好み
- 体調不良や口の痛み
- 環境の変化やストレス
- フードの鮮度や温度
- より美味しいものを待っている
- おやつの食べ過ぎ
🍽️ 食べないときの対処法
- 違うフードをあげてみる(タイプや味を変える)
- 人肌程度に温めたり、トッピングで香りをよくする
- 食事の時間を規則正しくする
- おやつのあげすぎを控える
- 元気がない、急に食べなくなったなどの体調不良が疑われる場合は獣医師に相談
⚠️注意点
- 無理に食べさせるとストレスになることもあります。
- 1日食べない場合は必ず動物病院へ相談しましょう。
おやつは愛犬とのコミュニケーションに大切ですが、あげすぎは栄養バランスが崩れるため注意が必要です。
おやつの役割
- トレーニングやご褒美に◎。成功のたびにごほうびをもらえることでやる気がアップします。
おやつの適量
- 1日の総カロリーの20%以内が目安。小さくちぎって回数を多くあげると、犬にとって「うれしい経験」が増えたように感じられます。
- おやつをあげた分、フードの量を減らして1日の総カロリーを調整しましょう。
⚠️注意点
- おやつのあげすぎは、ごはんを食べなくなる原因になります。
- 人間用の食べ物は絶対に与えない。
- 欲しがるたびにあげるとわがままになってしまうことも。
開封後のドッグフードは、密閉した状態で正しく保存して、新鮮さと栄養を保ちましょう。
タイプ別 保存方法のポイント
フードのタイプ | 保存方法 | 使い切る期限の目安 |
---|---|---|
ドライ(カリカリ) | ・密閉した状態で常温保存 ・直射日光や高温多湿をさけ、風通しのよい場所に置く |
開封後 約1か月以内 |
ウェット(缶・パウチ) | ・未開封なら常温保存 ・開封後は密閉容器に入れて冷蔵庫で保存 |
開封後 1〜2日以内 |
セミモイスト(半生タイプ) | ・未開封なら常温保存 ・開封後は保存料の「あり」「なし」によって、常温保存または冷蔵庫で保存 |
保存料の使用有無によって異なる(💡注意点を参照) |
フリーズドライ(水で戻していない状態) | ・密閉した状態で常温保存 | 開封後 約1か月以内 (水でもどしたものは生食と同様の扱い) |
冷凍フード | ・冷凍庫で保存(使う分だけ小分けに) ・与える前に食べる分だけ解凍 |
解凍後 1〜2日以内 冷凍のままなら 1か月以内が目安 |
⚠️注意点
- 常温保存は、直射日光や高温多湿の場所をさけて保存しましょう。
- 食べ残しはできるだけ捨て、食べきれる量を与えることが衛生的です。
- パッケージの保管方法をしっかり確認しましょう。
上記のようにいくつかのポイントがありますが、必ずパッケージに記載されている保存方法を最優先してください。
👉 愛犬に合わせた量をすぐに計算したい方は、ドッグフード摂取量 計算ツール をご利用ください。
まとめ
総合栄養食のドッグフードを計算式で算出した量であげていたら完璧なのかな…?
数字ばっかり見てても、犬の体は教科書どおりにはいかないワン。
まずは計算で大体の目安を出すんだ。ただし、それはあくまでも“目安”にすぎないよ。
えっ、じゃあどうすればいいの?
大切なのはね、愛犬の体型・毛並み・元気さを毎日チェックすること。
具体的には、おなかの上のあたりを触ったときに、肋骨が“わずかにさわれる程度”、上から見てウエストがくびれている状態が理想なんだ。
なるほど! 数字だけで判断しちゃダメなのだな。愛犬の様子を観察しながら調整するってわけだ。
その通り。飼い主さんの観察力と愛情こそ、いちばん頼りになる健康管理の秘訣だワン。
よーし。観察力を磨いて、“犬の飼い主研究所”らしいアドバイスができるように頑張るのだな!